保険料
保険料は、健康保険組合の収入の大部分を占めるものです。
被保険者と事業主で負担し合った保険料をもとに、健康保険組合の運営を行っています。
保険料の構成
健康保険料には、「一般保険料」と「調整保険料」があります。
「一般保険料」は、加入者への各種保険給付や保健事業などに使われる「基本保険料」と、高齢者医療制度などへの支援金に使われる「特定保険料」から成り立っています。
「調整保険料」は、全国の健康保険組合が共同で行っている「共同負担事業」などの財源を確保するため、各組合が拠出している保険料です。
「介護保険料」は、介護保険制度の保険者である市区町村に代わって、健康保険組合が40歳以上65歳未満の被保険者から徴収しています。保険料率は毎年健康保険組合ごとに決められた介護給付費納付金に基づき決定されます。
保険料の決め方(標準報酬月額・標準賞与額)
健康保険では、被保険者の収入(給料や賞与)に応じて保険料を納める「総報酬制」が導入されており、保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に、保険料率をかけて計算されます。
なお、被扶養者の増減によって保険料が変更されることはありません。
標準報酬月額とは、報酬(給料、残業代、交通費なども含まれます)を区切りのよい幅(58,000円から1,390,000円までの50等級)で区分したもので、毎月の保険料や給付金などはこれをもとに計算されています。
標準賞与額は、支給された賞与額の1,000円未満を切り捨てた額のことです。その年度(4月1日から翌年3月31日まで)の標準賞与額は、賞与合計額の累計573万円を上限とします。
保険料の計算方法 | ||||||||||
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- 報酬の範囲
- 標準報酬月額を決める場合のもととなる報酬は、名称や通貨・現物を問わず、被保険者が労働の対償として受けるものすべてを含みます。ただし、大入り袋や見舞金のような臨時に受けるものや、年3回以下の賞与は含まれません。
- 賞与の範囲
- 標準賞与額を決める場合のもととなる賞与は、名称や通貨・現物を問わず、被保険者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、年3回以下支給のものです。ただし、大入り袋や見舞金のような臨時に受けるものは含まれません。
標準報酬月額を決める時期
標準報酬月額を決める時期には、次の4通りの場合があります。
資格取得時決定(就職したとき)
就職すると同時に健康保険に加入することから、初任給などをもとに標準報酬月額を決定します。
定時決定(毎年7月1日現在で)
標準報酬月額は年1回、全被保険者について決め直すことになっており、毎年7月1日現在で4月・5月・6月の給料などをもとに見直され、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額となります。
随時改定(昇(降)給などで給与等が大幅に変わったとき)
昇給・降給などで大幅に給与が変わった場合は、変動月から4ヵ月目に新しい標準報酬月額に改定します。これを「随時改定」といい、下記①~③の全ての条件に該当する場合に行われます。
- 昇給または降給により「固定的賃金」に変動があったとき
- 「固定的賃金」の変動月から継続して3ヵ月間に受けた報酬などの平均額が、現在の標準報酬月額に比べて2等級以上の差が生じたとき
- 給与計算の対象となる「支払基礎日数」が3ヵ月とも17日(特定適用事業所に勤務する「短時間労働者」は11日)以上あるとき
注意事項
- 「固定的賃金」とは、支給額や支給率が決まっているものをいいます。その変動には次の①~⑤のようなケースが考えられます。
- 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
- 給与体系の変更(日給から月給への変更など)
- 日給や時間給の単価の変更(日当・単価など)
- 請負給や歩合給などの単価、歩合率の変更
- 家族手当・住宅手当・役付手当など、手当の支給額が変わったとき
固定的賃金 基本給(月給・週給・日給)、家族手当、通勤手当、住宅手当
役付手当、勤務地手当など非固定的賃金 残業手当、能率手当、休日勤務手当、精勤手当など - 休職による休職給を受けた場合は、「固定的賃金」の変動には該当しないため、随時改定の対象とはなりません。
- 「固定的賃金」は上がった(下がった)が、残業手当等の「非固定的賃金」が下がった(上がった)ため、変動後の引き続いた3ヵ月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より下がり(上がり)2等級以上の差が生じたという場合は、随時改定の対象とはなりません。
報
酬固定的賃金 非固定的賃金 3ヵ月分の報酬の平均額
2等級以上の差随時改定 : 増 : 減 : 該当 : 不該当 - 標準報酬月額の上限または下限にわたる等級変更の場合は、2等級以上の差が生じなくても「固定的賃金」の変動月以後、ひき続く報酬月額の3ヵ月平均が下記の表の額となった場合は随時改定の対象となります。
従前の標準報酬月額 報酬月額の3ヵ月平均 改定後の標準報酬月額 昇給の
場合第49等級 1,330千円 1,415千円以上 第50等級 1,390千円 第1等級 58千円
(報酬月額 53千円未満)63千円以上 第2等級 68千円 降給の
場合第50等級 1,390千円
(報酬月額 1,415千円以上)1,355千円未満 第49等級 1,330千円 第2等級 68千円 53千円未満 第1等級 58千円
年間平均額を用いた保険者算定(平成30年10月改定より)
下記①~④の全ての条件に該当する場合、「固定的賃金」の変動のあった月以降4ヵ月目から、年間平均額による標準報酬月額で随時改定することができます。該当される方は、健康保険組合までご連絡ください。
※年間平均額を用いた保険者算定の申し立てについては、事業主が被保険者の同意を得ることが必要となります。
- 現在の標準報酬月額(※1)と、通常の随時改定による標準報酬月額(※2)との間に2等級以上の差があること
- 通常の随時改定による標準報酬月額と、年間平均額による標準報酬月額(※3)との間に2等級以上の差があること
- 通常の随時改定による標準報酬月額と、年間平均額による標準報酬月額に生じる差が、業務の性質上例年発生することが見込まれること(※4)
- 現在の標準報酬月額と年間平均額による標準報酬月額との間に1等級以上の差があること
※1 「固定的賃金」の変更があった月から3ヵ月目の標準報酬月額
※2 「固定的賃金」の変動のあった月以降3ヵ月に受けた「固定的賃金」と「非固定的賃金」の平均額により算定した標準報酬月額
※3 以下の①と②を合算した額より算定した標準報酬月額
①「固定的賃金」の変動月以降3ヵ月間に受けた「固定的賃金」の平均額
②「固定的賃金」の変動月以前9ヵ月と以後3ヵ月(12ヵ月に受けた)「非固定的賃金」の平均額
※4 一般的に、定期昇給時期に「非固定的賃金」が増加しているという実態が例年確認できていること
産前産後休業・育児休業が終了したとき
産前産後休業・育児休業が終了し職場に復帰された被保険者は、時短勤務などにより給料が、休業以前と比べて低くなることがあります。このとき、被保険者からの申出により標準報酬月額の見直しが行われます。
- 産前産後休業終了後の標準報酬月額改定
- 産前産後休業終了後に報酬が低下した場合は、標準報酬月額が2等級以上変動しない場合でも、申請を行うことにより標準報酬月額が改定されます。
産前産後休業を終了した日の翌日の属する月以後3ヵ月間の報酬の平均(支払基礎日数17日未満の月は対象から除く)が、従前の等級と1等級でも差が生じた場合は、産前産後休業が終了した日の属する月の4ヵ月目から次回の定時決定まで標準報酬月額が改定されます。ただし、産前産後休業終了した日の翌日に引き続いて育児休業を開始される方については、申請できません。
該当される被保険者の方は、勤務先経由で「産前産後休業終了時報酬月額変更届」をご提出ください。
※用紙が必要な方は、健康保険組合までご連絡ください。
- 育児休業終了後の標準報酬月額改定
- 育児休業終了後、3歳に達するまでの子を養育している方の報酬が低下した場合は、標準報酬月額が2等級以上変動しない場合でも、申請を行うことにより標準報酬月額が改定されます。
育児休業を終了した日の翌日の属する月以後3ヵ月間の報酬月額の平均(支払基礎日数17日未満の月は対象から除く)が、従前の等級と1等級でも差が生じた場合は、育児休業を終了した日の属する月の4ヵ月目から次回の定時決定まで標準報酬月額が改定されます。
該当される被保険者の方は、勤務先経由で「育児休業等終了時報酬月額変更届」をご提出ください。
※用紙が必要な方は、健康保険組合までご連絡ください。
保険料の徴収
保険料は月単位で計算され、毎月の給料および賞与から差し引かれます。
※入社した月は、月の途中からであっても1ヵ月分の保険料が翌月の給料から徴収されます。
※退職した月の保険料は徴収されません。ただし、月末に退職または死亡した場合は資格喪失日が翌月1日になるため、その月分の保険料も徴収されます。
産前産後休業期間中や育児休業期間中は保険料が免除されます
被保険者が産前産後休業や育児休業をとるときは、事業主が健康保険組合に届出すれば、被保険者負担分・事業主負担分の保険料が免除されます。
産前産後休業期間中の保険料免除
事業主からの申出により、産前産後休業(出産(予定)日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日後56日までの期間)を開始した日の属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、被保険者負担分・事業主負担分ともに保険料が免除されます。
育児休業期間中の保険料免除
事業主からの申出により、育児休業等期間中は被保険者負担分・事業主負担分ともに保険料が免除されます。
保険料免除要件
- 育児休業を開始した日の属する月から育児休業を終了する日の翌日が属する月の前月までの期間
- 育児休業を開始した日の属する月と、育児休業を終了する日の翌日の月が同一であり、かつ、当該月における育児休業の日数が14日以上である場合(連続した期間ではなく、合算した期間で14日の算定をすることも可能)
- 賞与保険料においては、賞与支払月の月末時点で育児休業を取得していることに加え、その期間が連続して1ヵ月(暦日)を超える場合
※最長で子が3歳になるまで取得が可能
※子が1歳までの育児休業については、時期・自由を問わず分割して2回まで取得することが可能
※連続して複数回の育児休業等を取得している場合は、1つの育児休業とみなされます。(土日等の休日や有休休暇等の労務に服さない日を挟んで複数回の育児休業等を取得した場合も含む)
保険料免除期間
- 1歳に満たない子を養育するための育児休業(最大2回まで分割取得可)
- 1歳から1歳6ヵ月に達するまでの子を養育するための育児休業
- 1歳6ヵ月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業
- 1歳から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業
※②~④の保険料免除の申出は、被保険者が育児休業を取得する度に、事業主が健康保険組合へ届出をする必要があります。